病気による口臭

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これまで述べたように生理的口臭は誰にでもあるものです。そのにおいは他人を不愉快にさせるほど強くなることはまれですし、たとえにおいがきつかったとしても、歯磨きやうがいなどの、簡単な予防策を実行するだけで口臭を取り去ることが可能です。

また、においの強い食べ物を食べたときやタパコによる口臭も、強い口臭の原因には違いありませんが、全体的に見れば少数派です。

口臭の多数派は、これから述べる「病気による口臭」です。

病気による口臭の原因となる病気は、次の2つに大別されます。

  1. 口の中の病気
  2. 全身的な病気

このうち、8割以上が「口の中の病気」に上るものと考えられています。

口の中の病気による口臭

口の中は、たとえてみれば台所の「3角コーナー」のようなものです。

口には、毎日、いろいろな食べ物が入ってきます。肉や魚、野菜、乳製品、豆製品、イモ類、ごはん、パン、調味料、そして飲み物……。私たちが生きていく以上、エネルギー源、栄養源としていろいろな食べ物を摂取しなければなりません。健康づくりのためには、1日30食品以上のものを食ぺよう、ということも厚生省が提唱しています。

食ぺ物が、すぐに食道から胃へと送られれば間題はそう起こらないのですが、間題は口の中に食べかすが残ることです。

食べかすが残された口の中は、掃除が行き届いていない台所の三角コーナーのような状態です。三角コーナーの生ゴミは、そのまま放置しておくと、腐敗が進み、悪臭を放ちます。でも、マメにビニール袋に入れて捨ててしまえば、においません。

口の中もマメなお掃除がかかせません。

食後すぐに歯磨きをして口の中を掃除し、食べかすを放置しないように心がければ口臭を防ぐことができます。満腹感にひたって、歯も磨かず食べかすを放置しておけば、手入れを怠った三角コーナーと同じで、口の中では腐敗が進み、やがて悪臭を放ち始めます。

歯垢

食ベカスを放置しておくと、やがて歯の表面などに「歯垢(プラーク)」と呼ばれる、歯の垢が付着しはじめます。

歯の表面についた歯垢を指先でさわるとヌルヌルしていますが、その8割は細菌からできています。

歯垢のなかの細菌は、口の中にある食べかすが大好物です。食後に正しい歯磨きをせずに、磨き残しを作ると、そこについている食べかすをエネルギー源にして、細菌がどんどん増殖していき、口臭の大きな原因となります。

歯肉の炎症

1ミリグラムの歯垢の中には、約一億にものぼる細菌がいるといわれます。

膨大な数の細菌が毒素や酸素を出していますので、そのまま放置しておくと、歯肉に炎症が引き起こされます。

歯肉は、歯をおおう粘膜の一部で、「歯ぐき」といわれる部分です。ご自分の口をアーンと開けて中を鏡に写してごらんいただければと思いますが、健康な歯肉は、淡い紅色をしています。

歯肉が炎症を起こすと、赤く腫れて、出血しやすくなります。これが「歯肉炎」と呼ばれる状態です。

歯肉炎を放置しておくと、炎症は深い部分にまで広がり、ついには歯を支える骨までも溶かしてしまいます。こうなると、歯肉から出血するだけでなく、膿が出たり、歯が抜け落ちたりします。このような状態が「歯周病」と呼ばれるものです。

歯垢とともに、歯周病は口臭の原因となります。歯肉炎や歯周病は口臭の原因の8割を占めているともいわれます。

また、年をとるとともに、歯肉の病気は深刻になってきます。特に40歳以上の人は、程度の差はあれ、ほぼ全員に歯周病が見つかるといわれていますから、注意が必要です。

舌苔

歯垢、歯周病に次いで、口臭の原因となるのが「舌苔」です。

「舌に苔があるの?」

そう不思議に思う人も多いと思いますが、鏡の前で、自分の舌を「ペーツ」と出して、見てみてください。もし白い苔の上うなものが表面についていたら、それが舌苔です。舌の表面には細菌や食ぺかす、はがれた舌の粘膜など、歯垢とほぼ同じ成分の苔が付着するのです。

舌苔は舌の表面に堆積していき、細菌によって分解され、代謝の産物として悪臭を発し、口臭の原因となります。

「舌は全身の健康状態を映す鏡」ともいわれる重要な場所です。にもかかわらず、舌に注意を払う人がほとんどいないのは残念なことです。

むし歯

「口の中の病気で、口臭の原因になるものはなんですか」

そう聞かれてまず、思い浮かべるのがむし歯ではないでしょうか。でも、実際は歯垢、歯肉の炎症、舌苔に次いで4番目のランクです。むし歯が一本あるくらいで、口臭が強くなることはありません。でも、むし歯が進行して、歯の神経が死んでしまったり、むし歯がたくさんある場合には口臭が発生することになります。

歯の修復物(つめものやかぶせもの)が合っていない

むし歯を治療した差し歯やブリッジ、つめものやかぶせものが合っていないときなどは、その部分に汚れが付着して、においのもとになります。金や銀の合金を材料に使っている場合は、金属独特のにおいが出ることもあります。

また、治療がすんだ歯の周りは、健康な歯に比べて磨き残しができやすかったり、歯肉に炎症が生じやすいので、それが口臭の原因ともなります。

入れ歯のプラーク

入れ歯(義歯)の材料であるプラスチックにも特有のにおいがあります。プラスチックは吸水性を持っていますので、使っているうちに細菌が吸着しやすくなります。そのため、入れ歯の手入れが悪いと、歯垢がつきやすく口臭の原因となります。

また、汚れた入れ歯をそのまま使い続けていると、入れ歯と接触する粘膜に炎症が生じたり、周囲の歯がむし歯や歯周病になったりもします。こうなると、いつも強い口臭がするようになります。

全身的な病気による口臭

さて、これまで述ぺだように、病気による口臭のほとんどは口の中の病気が原因で引き起こされますが、口臭の10パーセント程度は、「全身的な病気」によるものです。口臭の原因となる全身の病気は、大きくは次の4つに分けられます。

  1. 呼吸器の病気による口臭→化膿性気管支炎、気管支拡張症、肺膿瘍、肺壊疸、肺がんなど。
  2. 耳鼻咽喉の病気による口臭→慢性鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、慢性扁桃炎、咽喉頭がんなど。
  3. 消化器の病気による口臭→食道憩室、食道狭窄、慢性胃拡張症、胃炎、胃かいよう、胃下垂、胃がんなど。
  4. 代謝系の病気による口臭→糖尿病、尿毒症(腎臓の糸球体の働きが低下して、ろ過が十分にできなくなり、血液中に尿素・クレアチニン・尿酸などがあふれてくる)、肝硬変、慢性肝炎など。

いずれも、代謝(体内にとり入れた物質を栄養素やエネルギーに変換するはたらき)の異常や病原菌によって、健康なときに比べて特定の物質が異常に増えたり、組織が破壊されるなどして、普通では発上しないにおいを待った物質が体内でできるからと考えられています。

全身の病気を原因とする口臭でよく知られているのが、糖尿病の人の甘酸っぱいアセトン臭です。健康な人でも血液や尿の中にはアセトンが混ざっていますが、糖尿病の場合、特にその量が多く、においとして感じられるほどになります。

また、全身の病気により代謝のバランスが崩れると、細菌を排除する力(免疫力)が落ち、その結果、歯周病が起こりやすくなり口臭の原因となります。

さらに、悪性貧血など全身の病気が原因となる口臭の場合は、内科医や、耳鼻咽喉科医ともよく相談して、歯科医との連携プレーで口臭退治に取り組んでいく必要があります。

たとえば、口臭が気になるので歯科医を受診し、歯周病の治療を受けたとします。しかし、歯周病が完全に治っても、口臭はいっこうに改善されません。

そこで、歯科医の紹介で内科の診察を受けたところ、内臓に病気があり、それが口臭の原因だったことがわかった、というケースもあるのです。

これとは逆に、内臓の病気による口臭だと考えていたら、実は歯周病であったという場合もあります。

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  6. 病気による口臭
    たとえにおいがきつかったとしても、歯磨きやうがいなどの、簡単な予防策を実行するだけで口臭を取り去ることが可能です。 また、においの強い食べ物を食べたときやタパコによる口臭も、強い口臭の原因には違いありませんが、全体的に見れば少数派です。 口臭の多数派は、これから述べる「病気による口臭」です。
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